アンチエイジングコラム[03] 内分泌の変化―ホルモン分泌の減少によって『しぼむ』
実年齢を重ねるにしたがって、体内のホルモン分泌が減少してゆきます。メラトニン、DHEA、成長ホルモンやインスリン様成長因子(IGF-I)、女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)、甲状腺ホルモンなど、若さと健康を保つために必要なホルモンは、平均的に30歳をこえるころから減りはじめます。そしてこれらのホルモンの分泌がある一定レベル下回ると、さまざまな症状が現れてきます。
例えば女性ホルモンのエストロゲンは、血管、脳、肌、骨密度の若さを保つ働きがあり、女性の健康長寿に深く関係のあるホルモンです。このホルモンの減少によって、更年期障害と呼ばれる、ほてり、のぼせ、動悸、骨粗しょう症、不眠などの症状をもたらせます。
ところで多くの人の場合、20歳のころは何を食べても太らない身体だったかもしれませんが、40歳近くになると、何を食べても太る身体に変わってしまいます。それは身体の代謝機能が若者モードから、おじさん・おばさん・高齢者モードに変化するからです。人の一生を四季にたとえて、それぞれを「春モード」と「秋モード」と呼ぶことにします。
それでは、ある症例から、春モードから秋モードに変化する過程での、ホルモンの役割を見てみましょう。
〈症例〉
39歳男性、会社員。最近、なんだか目が疲れる、頭痛が多く、肩こりがひどくなってきた。どうしたのだろう。最近はやりの男性更年期なのだろうか。そう言えば最近精力も衰えたようだ。人間ドックで検査をしても、まったく異常はない。もしかして頭が原因か?脳ドックに入って、MRI検査で脳下垂体を調べる。やはりそうだった。診断は下垂体腫瘍(しゅよう)。脳下垂体からはさまざまなホルモンが分泌される。下垂体腫瘍もときにはホルモンを大量に分泌することがあるが、今回はホルモンを産生しないタイプの腫瘍で、手術により切除した。
人間のからだは、普段の生活の中で、温度、明るさ、睡眠、身体活動、性的活動などの情報を感覚器官で感知して、それらの情報は統合されて脳に送られます。
そして、それらの情報を受けて、脳にある視床下部は下垂体を経由して、全身の臓器や器官に向かって、ホルモン分泌という方法で、的確に指令を送っているのです。
もしも下垂体機能や下垂体ホルモンが欠乏すると、症例のような、いろいろな症状が現れてきます。「なんとなく疲れやすい」という体力・運動能力の低下、「精神的な意欲や性的な感情、想像力の低下」という精神活動の低下、眠りの質の低下、免疫力・抵抗力の低下、骨密度の低下、肌の変化、体脂肪の増加、筋肉の衰えなどです。
具体的には、すぐに疲れる、疲労が抜けない、ときめきがなくなった、集中力やまさに老化そのものです。
下垂体ホルモンの分泌は、視床下部からの命令によって、調節されています。それが意味することは、普段の生活態度が大変重要だということです。もちろん、加齢とともにホルモンの分泌は少しずつ衰えてゆきます。それは、老化のプログラムのスイッチが「オン」になったことを意味します。しかし、悪い生活習慣や食習慣をそのままにしておくと、こうした重要なホルモンの分泌低下は、さらに早まってしまうのです。
ですから、ウオーキングなどの運動、高タンパク食、野菜・海藻などの抗酸化食品の積極的な摂取、ストレス対策をすることによって質の良い睡眠を得ることなどの良い生活習慣や食習慣に改善することが、自己のホルモン分泌能力を低下させないためには大切なのです。

