2005年06月23日

アンチエイジングコラム【04】―成長ホルモン― 運動と睡眠で減少防ぐ

<症例>
40歳、男性、公務員。
幼児期に成長ホルモン欠乏症と診断され、成長ホルモンの投与を受けた。現在、身長
149cm、体重55kg。身長は17歳の時と変わらず、体重は約5kg増加して、ずんぐりとした体形に変わった。髪はやや薄く、白髪が交じる。皮膚は乾燥肌で、シミが多い。全体的に体力不足で、行動もすこしスローなところがある。夏でも風邪をひきやすい。


今回は成長ホルモンの話です。
成長ホルモンは、人体にとって最も重要なホルモンの一つであり、睡眠中、特に眠りの質がもっとも高い時間帯に、脳の下垂体から分泌されます。成長ホルモンは、肝臓でIGF-Ⅰ(インスリン様成長因子―Ⅰ)と呼ばれる成長因子の産生をうながし、子供では、組織、骨、軟骨、筋肉、皮膚、肝臓、腎臓の成長をつかさどります。「寝る子は育つ」ということわざは、よく眠る子供は成長ホルモンの分泌もさかんで、よく育つという意味です。
それでは、もしも、成長ホルモンが無かったらどうなってしまうでしょうか。子供で成長ホルモンの分泌が足りないと、骨や筋肉などの骨格が十分成長できず、低成長の状態になってしまいます。これが小人症ともよばれる病気です。体格が小さいばかりでなく、心臓や消化器系の機能も弱く、免疫力や、時には知能も衰えてしまいます。成長ホルモン欠乏症と診断された小児には、保険診療によって成長ホルモンが投与されるので、正常な発育を遂げることができます。

成長ホルモンは、からだの成長が止まったあと、大人になってからも大切な役割があります。
成長ホルモンを分泌する器官である下垂体に腫瘍ができて、39歳の人がそれを手術によって摘出した症例を前々回紹介しました。その人は、下垂体をとってしまったので、成長ホルモンの分泌ができなくなってしまいます。IGF-Ⅰも極めて低くなります。
すると、健康的でうるおいのある皮膚をつくったり、しわを減らしたり、骨をじょうぶにしたり、また、エネルギーレベルや性的な能力を高める働きが弱まってきます。そればかりでなく、免疫システムが弱まり、心臓の出力も弱まり、視力が低下し、また、時には健康感がなくなったり、記憶力が衰えるなど、その影響は実に多岐にわたるのです。生活の質は著しく低下し、まるで老化が早まってしまったようになります。
病気でなくとも、成長ホルモンの分泌とIGF-Ⅰの産生は、30歳をすぎると加齢とともに徐々に減ってきます。

自分自身がもっている成長ホルモンを分泌する能力を高め、IGF-Ⅰレベルをあげることは、若さと健康を保ち、老化を防止するために、たいへん重要です。食事ではたんぱく質を多めにとること(1日80gが目安です)、運動はウォーキングや水泳などの有酸素運動を週に4回以上、スクワットなどの筋力トレーニングを週2日以上、ストレッチは毎日行うこと、そして質の高い睡眠をとることなど生活習慣を改善することは、脳の視床下部に情報与えて、下垂体からの成長ホルモン分泌を促し、肝臓でのIGF-Ⅰ産生を刺激するなど、自分自身のホルモン・レベルを高めます